こんにちは、Office サポートの佐村です。
今回の投稿では、Excel 2016 において、[挿入] タブの 3D マップを利用時にエラーとなる現象についてご案内いたします。
現象
Excel 2016 の 3D マップ機能を利用しようとすると以下のエラーが発生します。
3D Maps
3D Maps が Microsoft Bing 地図サービスに接続しているときにエラーが発生しました。
機能が制限される場合があります (状態コード: 4)。
その後、DirectX の初期化に関するエラーが表示され、3D マップ機能が起動しません。
※過去の利用履歴により上記エラー後に 3D マップ機能が起動することもあります。
対処方法
3D マップで利用する .Net framework で TLS 1.2 を利用して接続できるように
以下のレジストリを構成 (新規作成) します。
レジストリの設定には端末の管理者権限が必要となります。
<OS と Office が同じ bit>
キー : HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\.NETFramework\v4.0.30319
名前 : SchUseStrongCrypto
種類 : REG_DWORD
値 : 1
<64bit OS 上に 32bit の Office>
キー : HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Wow6432Node\Microsoft\.NETFramework\v4.0.30319
名前 : SchUseStrongCrypto
種類 : REG_DWORD
値 : 1
ご参考
クライアントの SSL/TLS プロトコルと暗号スイートのAD FSを管理する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-server/identity/ad-fs/operations/manage-ssl-protocols-in-ad-fs#enabling-strong-authentication-for-net-applications
エラーの原因
「状態コード: 4」のエラーは、TLS での接続に失敗していることが原因として考えられます。
2022年の下旬 (10月頃) に、コンテンツ配信サービス (3D マップ) 側でセキュリティ要件を変更したことにより、TLS 1.2 の接続が必要となりました。
これまでは TLS 1.0/1.1 での接続も動作していましたが、TLS 1.2 での接続を必要とし、TLS 1.0/ 1.1 での接続をエラーとするよう変更がありました。
Office 2019 や Microsoft 365 Apps では更新プログラムにより TLS 1.2 に
対応するように修正されましたが、Office 2016 は延長サポートフェーズであるため
更新による修正がリリースされていません。
そのため、レジストリを設定して TLS の接続方法を変更する必要があります。
レジストリの構成による影響について
レジストリ SchUseStrongCrypto=1 とすると、.NET Framework 4.5.2 のバージョンで既定で利用されるプロトコルが TLS 1.2 / 1.1 / 1.0 となります。
※高いバージョンから優先的に使用されるため、基本的には TLS 1.2 を利用します。
このレジストリが未指定または 0 となっている場合は、.NET Framework 4.5.2 では既定で利用されるプロトコルは SSL 3.0 / TLS 1.0 となります。
また、.NET Framework のプログラム上で明示的にプロトコルバージョンを指定している場合上記のレジストリの値や有無に関わらず、プログラムで指定したバージョンのプロトコルを利用します。
以上のことから、影響としてはプログラム上で明示的にプロトコルバージョンを指定して「いない」、かつ.NET Framework 4.5.2 をターゲットにビルドされているアプリを利用する場合に通信のプロトコルが変更されます。
上記条件で通信先のサービスで TLS 1.2 をサポートしていない場合 (レガシサービスの場合) はエラーとなる可能性はございますが、セキュリティ観点から TLS 1.2 への対応を進めていただくことを推奨しております。
ご参考
.NET Framework で TLS 1.1 および TLS 1.2 を有効化する方法 - まとめ –
※#6 をご参照ください。
https://jpdsi.github.io/blog/internet-explorer-microsoft-edge/dotnet-framework-tls12
今回の投稿は以上です。
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