こんにちは、Office サポート チームの大津です。
今回の記事では、特にお問い合わせの多い Windows 版の Office デスクトップアプリと Office for the Web を対象に、企業や組織の IT 管理者がユーザーの Office アプリの動作や機能を管理・制御する一般的な方法についてご紹介します。
1. 一般的な Office 向け設定の構成方法
■ Microsoft 365 クラウドポリシー
Microsoft 365 クラウド ポリシーは、Microsoft 365 Apps 管理センター画面から Microsoft 365 Apps へのサインイン ユーザーに対するポリシーを構成できます。
デバイスがドメインや Intune に参加していない場合でも Microsoft 365 Apps サインイン ユーザーに対してポリシーを構成することができます。構成方法や詳細情報は以下の公開情報をご確認ください。
参考:Microsoft 365 向けクラウドポリシーサービスの概要
URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365-apps/admin-center/overview-cloud-policy
■ Active Directory のグループポリシー
Active Directory (AD) のグループポリシー (GPO) では、ドメインに参加していて Windows OS を使用しているデバイスに対してポリシーを構成することができます。Office に対してポリシーを構成する場合、IT 管理者は Office の管理用テンプレートをダウンロードして構成する必要があります。詳細な手順は以下の公開情報をご覧ください。
参考:Office の管理用テンプレートを使用してグループポリシー (GPO) で Office 365 ProPrus を制御する
URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/answers/questions/4370544/office-(gpo)-office-365-proplus
■ Intune 内 Microsoft 365 アプリのポリシー→ Microsoft 365 クラウドポリシーと同じ
Intune 管理センターでも Microsoft 365 クラウドポリシーを構成することができます。具体的な手順は以下の公開情報を参考にしてください。
参考:Microsoft 365 アプリのポリシー
URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/mem/intune/apps/app-office-policies
■ Intune 設定カタログ
Intune 設定カタログでは、様々な機能や製品のポリシーを構成でき、Office のポリシーも含まれています。具体的な手順は以下の公開情報を参考にしてください。
参考:Microsoft Intune で設定カタログを使用してポリシーを作成する
URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/intune/intune-service/configuration/settings-catalog
<Intune について>
Intune は企業や組織が従業員のデバイスを一元管理できるクラウドベースのエンドポイント管理サービスです。設定カタログを利用する場合は、ポリシーを構成したいユーザーのデバイスを Intune に登録しておく必要があります。
参考: 登録ガイド: Microsoft Intune登録
https://learn.microsoft.com/ja-jp/intune/intune-service/fundamentals/deployment-guide-enrollment
■ Office 展開ツール (ODT) の構成ファイル AppSetting で「初期値」を設定
Microsoft 365 Apps インストール時や、または、インストール後に ODT を追加実行して、構成ファイルで指定した設定を、実行したデバイスに追加できます。他のポリシー設定とは異なり、既定値 (初期値) として構成され、強制することはできません。対応するオプション メニュー等からユーザーが変更できます。
具体的な手順は以下の公開情報を参考にしてください。
参考:Office 展開ツールの概要
URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365-apps/deploy/overview-office-deployment-tool
※「アプリケーションの基本設定をMicrosoft 365 Appsに適用する」セクションを参照
参考:Office 展開ツールのオプションの構成
URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365-apps/deploy/office-deployment-tool-configuration-options
※ 「AppSettings 要素」セクションを参照
2. 構成方法の比較
各 Office 向け設定の構成方法について、特徴の違いを以下の表にまとめます。これを参考にどの方法を採用するかをご検討ください。
Microsoft 365 クラウドポリシー | Active Directory のグループポリシー | Intune 設定カタログ | ODT の構成ファイルで初期設定 | |
---|---|---|---|---|
適用対象※1 | Microsoft 365 Apps サインイン ユーザー | Windows デバイスまたはユーザー | Windows デバイスまたはユーザー | Windows デバイス |
前提 | Microsoft 365 Apps にサインイン | デバイスやユーザーが AD の管理対象 | デバイスを Intune に登録 | 特になし |
強制または任意 | 強制 | 強制 | 強制 | 任意 |
優先順位 | 1 位 | 2 位 | 2 位 | 3 位 |
使用可能な製品 注:ポリシーはエンタープライズ向け製品でのみサポートされます |
Microsoft 365 for enterprise | Microsoft 365 Apps for enterprise、ボリューム ライセンス版 Office | Microsoft 365 Apps for enterprise、ボリュームライセンス版 Office | クイック実行形式の Office (Microsoft 365 Apps、ボリュームライセンス版 Office 2019 以降、製品版 Office 2016 以降) |
使用可能なプラットフォーム | Windows 上の Microsoft 365 デスクトップ アプリ、Office for the web | Windows 上の Office デスクトップ アプリ | Windows 上の Office デスクトップ アプリ | Windows 上の Office デスクトップ アプリ |
反映にかかる時間 | 最大 24 時間 | 90 ~ 120 分 | 約 8 時間ごとに更新 | ODT 実行後 Office 起動時 |
手動同期方法 | なし | コンピューターのポリシー:クライアントの再起動 ユーザーのポリシー:Windows への再ログオン または gpupdate コマンド実行 |
管理者が Intune 管理画面から同期 または クライアントで Windows の設定画面内 [アカウント] から同期 |
なし |
構成に必要な権限 | Office Apps 管理者 (推奨)、セキュリティ管理者、グローバル管理者 | Active Directory ドメイン管理者、エンタープライズ管理者 | ポリシーとプロファイルマネージャーの役割 | 実行マシンのローカル管理者権限 |
インターネット環境要否 | 必要 | 必要なし | 必要 | 必要なし |
※1: 適用対象の動作詳細
Office の動作設定のほとんどは、ユーザー向けに構成します。(セットアップ関連設定などのコンピューター向け設定も一部存在します。)
Active Directory のグループポリシーは、ユーザー向けのポリシーは、ユーザーに対してのみ構成できます。
Intune 設定カタログは、ユーザー向けのポリシーをデバイスに割り当てることもできます。この場合、そのデバイス上のすべてのサインイン ユーザーに反映されます。
Office 展開ツールも、デバイス上で実行すると、そのデバイスにサインインするすべてのユーザーに反映されます。
今回の投稿は以上です。ご紹介した各種管理方法の中から、組織の環境や運用方針に最も適したものを選択いただくことで、Office アプリをより効率的に活用していただけるかと思います。
今後も、皆様の業務に役立つ情報を継続的に発信してまいりますので、ぜひ当ブログをご覧ください。
本情報の内容 (添付文書、リンク先などを含む) は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。